プロ教師 北原のブログ

言葉の裏側を探る

2018.05.09

こんにちは。新学期が始まって1ヶ月がたちましたが、いかがお過ごしでしょうか。いいスタートが切れた人、思ったよりも新しい場所が大変だな、と感じている人、さまざまかと思います。この1ヶ月間、よくがんばりましたね。自分で自分をほめてあげてくださいね。

お子様が無事進級・進学された保護者の方も、ここまでのサポート、本当にお疲れ様でした。ぜひ、ご自身をいたわっていただけたらと思います。

 

さて、今日は私がいつも心がけている「子どもの言葉の聴き方」をご紹介したいと思います。

授業をしているときに、子どもたちは色々なことを話してくれます。「今日はがんばって漢字を覚えてきたよ!」「これは習ったからわかる!」と嬉しい報告が多いです。

ですが時折、「これやだ!」「この問題めんどくさい」など、ネガティブな言葉が出てくることもあります。

 

そのようなときに私が気をつけているのは、「言葉の裏側を探る」ということです。「めんどくさい」という発言に対して、「そんなわがままを言わないでやりなさい!」とは言いません。その子がどうして「やだ」「めんどくさい」と発言したかを聞くのです。

「どんなところがめんどくさい?」「なんでいやなのかな?」と優しく聞いてみると、「問題の意味がわからないから」「式を立てるやりかたがわからないから」「今日は学校でいやなことがあって元気が出ないから」など、子どもなりの理由があります。そしてたいていの場合、その子自身が「困っている」状況にあることが多いように思います。

 

私が担当している生徒さんで、「めんどくさい」「やりたくない」と言って、これまで算数にあまり取り組んでこなかった子がいました。その姿と言葉だけをぱっと見ると、「やる気がない」「ちょっと態度が悪い」と受け止められるような状況でした。ですが理由を聞いてみると、「数字をいっぱい書くのがいやだ」ということでした。実はその子は、鉛筆を使って字をたくさん書くこと、それをきれいに消して直すことを大変に感じて、困っていたのです。

そこで、その子に「ボールペンで計算してみたらどうかな」と私のペンを渡してみました。ボールペンは、鉛筆に比べて筆圧がなくても書きやすくなります。また、「先生のペンを使ってもいい」ということの楽しさや、「修正テープを使う」ということも嬉しかったようで、その子に受け入れてもらえました。そして、それまで計算をいやがっていたその子が、すらすらと計算をして、問題を解くことができたのです。その後、新しい範囲や少し難しい問題にもどんどんチャレンジできるようになり、「字を書くことが苦手なだけで、実は算数が得意な子だったんだ!」と、私も保護者の方も、その子自身も気付くことができました。

もし「めんどくさい」と言ったときに、言葉をそのまま受け取って叱っていたら、きっとその子は勉強がもっと嫌いになっていたのではないかと思います。その子は今、学習に対する自信がついてきて、鉛筆を使って計算をすることにも苦手意識を持たなくなってきています。

 

子どもたちは、言葉の使い方も勉強中です。大人が思っている意味とは違う使い方で言葉を発することも多いように感じます。だからこそ、会話をするときには「この子は本当はどんなことを伝えたいのかな」「今困っているんじゃないかな」と傾聴することを、今後も心がけていきたいと思っています。