教育コラム

「仙台経済界」掲載コラム

第8回 お子さんを雇いますか?

今回は中学新卒で就職を目指した生徒さんの話をします。
彼が就職を望んだ理由は、「勉強が好きではない。高い金を出してまで高校に行く必要はない。」でした。親御さんは進学してほしかったのですが、息子さんに何も言えず、公立高校の受験までは就職活動をしてもいい、と覚悟を決めました。中学新卒の就職者の割合は全国でも0.9%、宮城県では0.5%です。就職活動は彼の想像以上に厳しく、十五・六歳ではバイトでも難しい状況でした。しかし彼は進んで出向き、頭を下げて回りました。そして知り合いの会社に決定。ところが内定後一週間ほどして、取り消しの電話がきました。理由は「業績悪化のため」でした。
お父さんは息子さんに言ったそうです。「まだお前に働ける力はないんだよ。」そこから公立に向けての受験勉強が再開されました。彼はその後、工業系の高校に進学しました。
昔の会社は「とりあえず入ってこい。後は育てるから」という感じでしたが、今は「即戦力になるか」という基準で採用を考える傾向にあります。つまり就職前の段階で「仕事をしていける力」を身につけておく必要があります。残念ながら、今の教育制度では学校を卒業すると「勉強ギライ」になっている生徒が多く、子供たちが幼いころから受ける教育と、社会に出てから必要とされる力が直結していません。何のために勉強をしているのかが教育を受ける中で実感できれば、勉強に対してやる気が出る生徒さんは多いと思います。例えば親御さんが、仕事で人を雇う立場だったとしたら、
「わが子を雇いますか」
その力を育てるような教育環境を、私たち大人が早急に作っていかなければなりません。

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